リリース判定その他・特別採用によるソフトのリリースもあり得る
特別採用はソフトのリリースにも使う事のある手続きの呼び名です
特別採用でソフトをリリースする、という日本語が何を意味しているのか判る人は、メーカの製造ラインで出荷管理をしている部門や品質保証をしている部門で仕事をしている人だろうと思います。
それ以外の人にとっては、特別採用という名称が着いたソフトのリリースがあるのだな、という程度しか判らないのではないでしょうか。 特別採用というのはソフトに限らずメーカが製品を出荷する時の手順を指す言葉です。製品の品質管理に関する国際的な規格の ISO9001 でも使われている技術用語ですので、品質管理という業務に馴染みの無い方には聞き慣れない言葉ですね。
そして、ソフトもメーカが出荷する製品ですので、ソフトウエアにも特別採用による出荷があります。ソフトウでは出荷をリリースと呼ぶ事も多いので、この記事では特別採用によるソフトのリリースと呼んでいます。
特別採用でのリリースがあるなら通常採用でのリリースというのもあるの?
特別採用によるリリースという言葉と対をなすのは、通常採用によるリリース、、、とはあまり言いません。特別ではないので、ごく普通にソフトのリリースと呼びます。 つまり、ソフトのリリースに関する手続きを表す呼び名には、ソフトのリリースと特別採用によるソフトのリリース という2つの種類があるという事になります。
ちなみに、ソフトには、α版とかβ版とか正規版というような呼び名もあります。これらは、ソフトの目的による呼び名でこれらは割と一般的な呼び名ですので、皆さんもよく耳にすると思います。
前置きが長くなりましたが、この記事では特別採用によるソフトのリリースというのがどんな物なのか、グータラ親父の経験を基に紹介していきます。
なお、特別採用という言葉の説明や、2018年冒頭に新聞やTVのニュース番組を賑わした検査データの改竄問題での特別採用という言葉についての不適切な使用については、この記事の後半で少し触れる事にします。
特別採用ってどんな出荷の手続きなのでしょう?
特別採用とは、通常の出荷審査では規格を満たさずに不合格となった製品を、再度審査して規格を満たしてはいないけど今回に限って特別に出荷を許可しましょう、という出荷手続きの事です。もちろん、満たしていない規格の内容をよく確認し、製品として使われる上で品質上の問題が無い事や妥当性の確認ができた場合に限り、顧客の了承を前提として使える出荷の手段です。
例えば、製品自体には問題は無いのだけど外箱に汚れが付いているような場合を想像してみて下さい。外箱も大切な製品の一部であり梱包仕様が決まっていて、そこに大きな汚れが無い事と記載されていたとします。すると、外箱に汚れが付いていると、梱包仕様という規格を満たさないので、メーカとしてはその製品は不合格品となり、出荷はできません。
しかし顧客が「外箱の汚れがこの程度なら問題無いので納品を受け付けます」と言ってくれた場合には、外箱に汚れがある不合格品ですが、今回の製造品に限り特別に出荷をします。これが特別採用による出荷です。
例えば、顧客はその製品を最終ユーザにそのまま出荷するのではなく、外箱から中味の製品を取り出して、別のメーカの製品と合わせて綺麗な化粧箱に詰め直して最終ユーザに出荷する、というような事が良くあります。この場合、顧客にとって外箱が少々汚れていても問題はありません。どうせ外箱は顧客の化粧箱への詰め替えの工程で捨てられるのですから。そのような場合には、外箱の汚れはエンドユーザに提要される場面を考えると品質上の問題が無く製品の品質としても妥当なので、特別採用による出荷が可能となります。
特別採用でリリースできるソフトはどんな場合でしょう?
では、ソフトの出荷=リリースにあたって、規格満たしていないので不合格となったソフトであっても、特別採用でリリースが許可されるというのはどんな場合なのでしょうか? 規格を満たすというのは、製品のハードウエアに関する出荷判定の方法です。寸法とか耐熱性とか強度とかの規格があり、これを満たしている必要があるという言い方ですね。
ソフトの場合は、ハードウエアでいう所の規格という単語に相当するものとして、機能/性能/安定性 など色々な単語がありますが、一言で纏めると出荷に必要な品質を満たしているか、という事です。 ですので、ソフトのリリース可否の判断において、どんな品質の項目についてどんな基準でリリースの可否を判定しているのかを考えると、特別採用によるソフトのリリースというのが判り易くなります。
まあ、簡単に言ってしまえば、正式にリリースするにはちょっとだけ品質が不足している時に、今回に限りこの品質でリリースしましょう、というのが特別採用によるソフトのリリースです。う~ん、これではあまりにも漠然としすぎですね。
もう少しブレークダウンしてみましょう。グータラ親父は、プロセス品質とプロダクト品質という2つの品質を確認して、ソフトのリリースの可否を判定していました。そして、プロセス品質とプロダクト品質の各々について、以下のような項目で示される品質の、少しばかりの不足に対しては妥当性が確認できれて顧客がそれを了承してくれていれば特別採用によるリリースを許可していました。
- 計画していたテストの一部が未だ終わっていない (プロセス品質不足)
- 潜在バグの洗い出しがまだ充分に終わっていない (プロダクト品質)
- 残存バグによるサービス提供への影響が残っている (プロダクト品質)
この3つの項目については、もう少し具体的には次の記事で紹介しましょう。
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