リリース判定基準・残存バグ0は必須条件じゃない

2020年11月25日リリース判定

残存バグが残っていてもソフトをリリースする場合もあります

グータラ親父がソフトのリリース判定を行う時に使ってきた4つの基準のうちの1つが残存バグという事はリリース判定のための4つの基準前の記事で紹介しましたね。 

ソフトのリリース判定の時に、残存しているバグの状況を考慮してリリースの可否を判定する、という事自体が何かおかしい気がしますか? バグが残っているのなら、そのバグが修正されるまでリリースを止めて、バグが無くなってからリリースするべきなのでしょうか?日本人ならそう考える人も多いかも知れません。

でも本当にそれで良いのでしょうか? 世の中のあらゆる製品やサービスは、それらが使われて世の中に貢献してはじめて存在する意義があります。ソフトも例外ではありません。使われない限り、そのソフトは何の役にも立ちません。

使いたいときにそこに在る事も重要です

品質とは製品がより良く使われるために必要な要素の1つです。要素の1つという事は、品質以外にも何か有るという事ですね。ここでは製品をソフトに限定して考えてみる事にします。ではソフトがより良く使われるために、品質の他にどんな要素が関係してくるでしょうか? 機能が良い、使い易い、応答性が良い、等の非機能要件と呼ばれる物もあります。そしてもう一つ大事な事として、使いたい時にそこに在るという事も忘れてはいけません。

なにか、抽象的で判り難くなってきましたね。 少し具体的な話にしてみましょう。 ソフトがより良く使われるための要素として、品質とリリース時期の2つに話題を絞って考えてみましょう。

ソフトにも色々ありますが、例えば銀行のオンライン決済用のソフトとオンラインゲーム用のソフトを具体例にして、残存バグとリリースについてもう少し考えてみましょう。

オンライン決済用のソフトは品質が大切

銀行のオンライン決済用のソフトの場合には、品質が充分に良くなってバグが無くなってからリリースするのは当然ですね。バグのために、私の銀行口座から勝手にお金が引き落とされたらたまりません。少々リリースの次時期が遅れても構わないので、バグが無い品質の良いソフトがリリースされる事が一番大切です。 

この場合では、製品がより良く使われるための要素として、品質のほうがリリース時期よりも重要という事になります。

ゲームはバグがあっても早くプレイしたいです

では、オンラインゲームのソフトならどうでしょうか? 以前から注目していたオンラインゲームが今月初めてリリースされる場合を想像してみて下さい。ゲームサイトには1ヶ月後に安定化バージョンをリリースすると掲載されていました。という事は、今月のリリースではまだバグが残っているのかもしれません

さて、皆さんは1ヶ月待ちますか? ちょっとぐらいバグがあっても早くゲームを楽しみたいから、今回のリリースでプレイするという人も多いのではないでしょうか。グータラ親父なんて、何も考えず速攻でDLして誰よりも先に遊びたいです。(済みません、新しい物好きの本能です)

オンラインゲームの場合は、品質が良くてバグが無い事よりも、早くプレーできる事のほうが嬉しいというユーザも多いという事でしょう。そして、そのようなユーザに答える事でゲームのプレイヤーを早く獲得し、ゲーム市場でのシェアを伸ばす事は、ゲームメーカにとっても大切な営業戦略でもあり、その事はユーザの要望を満たす事にもなります。

もちろん、ゲームメーカもバグが無く安心してユーザが遊べる品質の良いゲームソフトを早くリリースしたい、という強い希望を持っています。その方がシェア獲得という営業面で大きく有利です。でも、少々のバグがあっても早くユーザにゲームを届けて楽しんでもらってファンを増やす、というのもまたゲームメーカとユーザの双方にとって大切な事です。

この場合、製品がより良くつ使われるための要素として、リリース時期のほうが品質よりも重要という事です。

必要な品質はソフトウエアの市場やユーザで変わる

これは極端な例え話ですが、実はリリースの時に必要な品質の重要性、言い換えると残存バグをどの程度まで許容するのかという事も、そのソフトが使われる市場やユーザによって変わるという一例です。 

では、どんなバグでも残っていても良いかというと、そいう訳でもないですね。先ほどのオンラインゲームの例で言えば、ゲームにログインする処理にバグがあって多くのユーザがログインできないとうようなバグがあっては、さすがにそののソフトはリリースしてはダメですね。 

と言う事は、リリースの判定時に残存しているバグについて何等かの判断基準を決めて、リリースして良いかダメなのかを判定しないといけない、という事です。ではどんな考え方と方法で、リリースしても良いか悪いかを判定しましょうか? 次の記事では、グータラ親父が使っていた残存バグについてのリリース判定の方法について紹介していきましょう。

(次の記事)リリース判定基準・信頼度成長曲線はまあまあ使える に続く